花粉症といえばスギ花粉症を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。スギ花粉症は今や国民病とも言われており、国内の約4割（4人に1人）の方が花粉症であると言われています。5〜9歳では3人に1人、10歳〜19歳では2人に1人といった調査の報告があり、年々低年齢化しており、発症の平均年齢が5.8歳という報告もあります。中には2〜3歳ですでに花粉症を発症しているという子もいるとまで言われています。
花粉症があることで鼻閉などの症状から集中力が低下したり、精神面にも影響したりすることで、学習の妨げになったり、最近では年間5兆円規模の経済的な損失を生み出すとまで言われています。花粉症で困っている方は多いのではないでしょうか。ここではそんな花粉症についてお話しします。

花粉症と言われると春のスギ花粉症をイメージしやすいかと思いますが、実は季節ごとに飛んでいる花粉があり、春・夏・秋とそれぞれに花粉症があります。例えば、夏は「イネ科の植物」、秋であれば「ヨモギ」や「ブタクサ」になります。それぞれの花粉が飛ぶ時期については、下の表をご覧ください。
アレルギーの有無は血液検査で調べることができます。当院では従来の血液検査に加えて、1滴の血液で検査可能な機器（ドロップスクリーン）を導入しております。ドロップスクリーンは注射の嫌いなお子様でも比較的受けやすい検査になります。検査は保険適応内であり、特定の41項目（スギ・ヒノキ・ダニ・ハウスダストに加えて食物アレルギー）について検査が可能です。気になる方はいつでもご相談ください。

花粉症の主な症状は、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目の痒みになります。ある特定の時期になるとくしゃみや鼻水が多くなる場合などでは、花粉症を疑います。くしゃみの回数などは重症度の判定に使用しますので、気になる方はご相談ください。
小さいお子さんの場合はなかなか自分で症状を言葉で伝えることができません、大人が注意してみてあげることが重要です。目をこするや鼻をいじるなどの特定の行動をする時は、花粉症かもと疑ってあげてください。

〈アレルギーの子どもがする行動〉

• 目：目を擦る・目が充血している
• 鼻：鼻をよくかむ・鼻をすすっている・鼻がつまっている
• 口：いびきをかく・よく口が空いている　など

まずは花粉やアレルギーの原因になるものを避けることが重要です。その上で、症状に合わせたお薬を使用していきます。症状が強い方には注射や手術と行った治療方法もあります。従来は症状に合わせて治療を選択されることが多かったのですが、近年は舌下免疫療法により根本的な治療が期待できるようになり、選択の幅も増えています。

• 花粉症対策をする
  花粉が多い時の外出を控える、外出時メガネやマスクをする、毛羽立った服を着るのを避けるなど、花粉やアレルギー物質を回避する対策を行います。

• 内服治療
  症状に合わせてお薬、鼻スプレーや目薬を使用します。

• 舌下免疫療法
  特定のアレルギーに対し体質を改善させる治療を行います。

• 注射治療
  既存治療でも改善が見られない重症の方に対し注射治療を行います。

• 手術療法
  鼻詰まりを軽減したり鼻汁量を軽減を目的とした手術を行います。

花粉症に対する内服治療においては初期治療（飲み薬や点眼薬の開始）が大切と言われています。初期治療を行うことで、そのシーズンの症状の軽減だけでなく、発症時期を遅らせることができます。
例えば関西であれば、スギ花粉は2月初旬もしくは中旬から飛散が開始されますので、1月末から2月初旬からの治療をおすすめします。

花粉症ってなんで急になるの？

これについてはコップの水理論で説明ができます。
コップに水を入れていくとコップの容量を超えると水が溢れてしまいます。これと同じで、人が花粉にさらされ続け、ある一定の量を超えると花粉を貯めとくことができなくなり、花粉症を発症します。花粉が多く飛散した翌年から急に花粉症になったというのはこのためです。ただ、コップに大きさがあるように、人にもそれぞれ花粉を貯めとく容量が異なります。なので、その人の体質によって花粉症になったりならなかったりするのです。

花粉症って遺伝するの？

花粉症の発症の一番の原因は環境です。スギ花粉などのアレルギーの原因物質にさらされやすい環境にあるとか同居者に喫煙者がいるお子さんは花粉症になりやすいとされています。
ただ、花粉症そのものが遺伝するのではないのですが、アレルギー体質（なりやすさ）は遺伝するとされています。アトピー素因と言って、アレルギーになりやすい体質という方は存在しています。両親にアレルギーのある方などでは、アトピー素因があると言います。アトピー素因のある小さいお子さんは、生後数ヶ月でアトピー性皮膚炎や食物アレルギーを発症して幼児期以降に喘息やアレルギー性鼻炎を発症することがあります。（アレルギーマーチと言います）

花粉が飛んでいる時の服装は？

下記のような服装がおすすめです。特に服装については毛羽立つものであるとそこに花粉が引っ付いて家に持ち込みやすくなったりしますのでツルツルした服を着て家に帰ったら玄関で花粉を落とすことをおすすめします。

• マスクをつける
• ツルツルした服をきる
• 外出時のメガネを花粉防止タイプに変更する

花粉症の薬が効かない！どうしたらいいの？

花粉症に対するアレルギー薬がありますが、人によって合う・合わないがあります。合わない場合は医師と相談して増量や薬剤の変更も可能です。また薬剤によっては眠気が出ることがあります。眠気が強い場合にも変更を検討する必要がありますので、いつでもお困りごとがあれば医師とご相談ください。

うちの子目薬が苦手で困っています

2024年より、まぶたに塗る目薬が出ました。当院でも使用可能ですのでいつでもご相談ください。