のどの病気
私がまだ幼い時に、「なんで風邪になると耳鼻科に行くの」と友人に聞かれたことがあります。耳と鼻じゃないのって。親にその話をすると「耳鼻科は耳鼻咽喉科って言って喉も診察するんだよ」って教えてもらいました。今ではそこまで疑問に思われる方も少ないのかもしれませんが、耳鼻科は“のど”や“くび”の専門家でもあります。
“のど”は生活する上で重要な3つの役割を果たしています。
  • 「食事をするところ」
  • 「声を出すところ」
  • 「息の通り道」
こんなに大切な場所なのに、歌手や声優さんなど声を使うお仕事でもない限り、のどってそこまで大切に感じられないものです。喉が腫れ、食事しにくくなったり、声も出しにくく、時には息もしにくくなったりしてやっと“のど”について意識されることが多いのではないでしょうか。ここではそんなについて“のど”のことについてお話します。
「飲み込みにくい」や「声の調子が悪い時」などは耳鼻科を受診しご相談ください。
のどの病気
このような症状を感じる場合はご相談ください
  • のどが痛い
  • つかえる
  • うまくのみ込めない
  • むせる
  • 味がわからない
  • せきが出る
  • 声が出にくい など

のどが痛い

”のど“は外敵にさらされやすい場所です。細菌やウィルスなどが口から侵入し感染します。そうなると、咽頭炎や扁桃炎といった”のど“が「ズキズキ」や「ヒリヒリ」などと言った“のどの痛み”が生じます。

のどの痛みの原因

痛みの原因についてはいくつかあります。
  • 細菌やウィルスなどの感染
  • 口の中が渇き:鼻が詰まって口呼吸になってたりしてると感じることがあります。
  • アレルギー:アレルギーも炎症ですのでヒリヒリ感が出ることがあります。
  • タバコの吸いすぎ:タバコの煙硝により“のど”が傷つきます。
  • がんなどの悪性腫瘍:がんは痛みを伴わないこともありますので注意です。
  • 神経性疼痛

のどの痛みの原因となる疾患

急性鼻咽頭炎・急性咽頭炎

風邪のひきはじめなどでは“のど”の上や鼻の奥で炎症が起き、“のど”の痛みが生じ、また小さいお子さんではさまざまなウィルス感染により“のど”が真っ赤になったりします。これをそれぞれ急性鼻咽頭炎・急性咽頭炎と言います。

急性扁桃炎

口の中には扁桃と呼ばれる組織(いわゆる扁桃腺)があり、溶連菌などに感染して白い苔みたいなのも(白苔)をつけたり大きく腫れたりします。扁桃炎は繰り返すこともあり、年に何回も扁桃炎で38度以上の熱が出るような場合は習慣性扁桃炎と言います。

扁桃周囲膿瘍

扁桃炎がひどくなると、口が開けにくくなるほど腫れてしまうことがあり高熱が続き周りで膿を作ることがあります。これを扁桃周囲膿瘍と言います。膿を出してあげることで急速に良くなりますが、ごくまれに呼吸困難の原因となるため、場合によっては入院なども考慮して総合病院での治療を提案します。
口が開けにくい、首・顎の下部分の片方が腫れていると感じる場合は注意が必要です。

のみ込みにくい(嚥下障害)

生きていく上で、呼吸することの次に食事をすることは大切な動作です。それができないときはとっても辛いですよね。
飲み込む動作を医学的に嚥下と言います。嚥下には5つの行程で成り立っています。
  • 食べ物を口に運ぶ:これ食べていいかなと判断してます
  • 咀嚼する
  • 喉への送り込む:「ごっくん」とする
  • 気道に入らないように喉頭蓋が閉じて食物がちゃんと食道に行くようにする
  • 食道を通る
このどこかがうまくいかないと嚥下障害といい、嚥下障害があると気道に入る誤嚥を起こします。これが元で肺炎になると誤嚥性肺炎と言います。嚥下障害の原因には脳梗塞や老化、神経疾患での筋力低下などが色々あります。
嚥下機能については内視鏡で喉を見ながら色水を飲んでもらったり、レントゲンでバリウムを飲んでもらうなどして評価します。飲み込みが悪いなと感じた時は耳鼻科へ相談してください。

声がかすれる、声が出しにくい

喉の奥、気管の入り口に声帯と呼ばれるV字型のひだがあります。声帯が閉じ声帯を震わせることで声が出ます。声帯にポリープなどのできものができたり、炎症で腫れたりすると声帯が閉じきれず隙間ができて、声がかすれたり出しにくくなったりします。声帯の動きやできものを確認するため喉頭ファイバーと呼ばれる胃カメラよりもすごく細いカメラで観察します。

声がかすれる、声が出しにくい原因となる疾患

急性喉頭炎

風邪を引いている時などに、声を無理に使ったり使いすぎたりすることで起こるものとされています。
一過性のものですので声を安静にしていただければ多くは自然と改善します。

慢性喉頭炎

喫煙や遺産逆流、声をよく使う状況などにより慢性的に声帯に炎症が起こるものを指します。
声の使い方や、禁煙していただくなどを指導いたします。

加齢性音声障害

年齢とともに声を出す筋力の低下や、粘膜の萎縮などにより声が出しにくくなることがあります。
筋力の維持が重要になります。

声帯ポリープ・声帯結節

良性の声帯腫瘍です。声を酷使する方に多く見られ、声帯にペンダコのようなものができ、うまく声帯が閉じないため声がかすれます。
  • 治療方法
内服や吸入薬を使用して声を安静(大声を出さない・長時間喋らない・せき払いをしない など)にしていただくことで自然と改善することがほどんどです。改善しない場合は手術などで摘出することもあります。

ポリープ様声帯

喫煙・飲酒歴のある方に多い疾患であり、声帯が全体的に腫れてしまっていることが多いです。
  • 治療方法
声の安静や喫煙に加えて、ステロイド吸入を行う場合もありますが、手術を行い治療します。

喉頭癌・声帯白板症

喉頭癌はがんですので悪性腫瘍になります。声帯や声帯の周囲にできるがんです。癌により、声帯が閉じないため息の漏れた様な声になります。当院では癌が疑われる場合は神戸市立総合医療センター中央市民病院などの総合病院へ検査や治療をお願いしています。
声帯白板症は前癌病変と行って癌の卵のようなものです。がん化しないか十分に観察して範囲が大きくなる様であれば癌になっていないか検査します。そのまま何年も大きくならないこともありますが、定期的な診察と検査が必要です。がんが疑われる場合はこちらも総合病院へ紹介いたします。

〜院長コラム〜 声を大切に使いましょう

人は話したり、歌ったりして、一生声を使います。
声の出し方が悪いと、声帯をいため、いろいろな病気になります。
治療をしても、声の出し方が悪いと再発します。

悪い発生方法

  • 大声でさけぶ、泣きわめく
  • 力(りき)んで声を出す
  • 風邪を引いた時に、声を使いすぎる
  • 賑やかな場所で話す(自然と大きな声になる)
  • クラブ活動や運動時に大きな声を出す

声を痛める誘因

  • タバコ・アルコールの過度な摂取
  • 激しいせきや、せき払い
  • 冷気や乾燥、汚れた空気を吸う(クーラーなど)

声の上手な使い方

  • 落ち着いて、ゆっくり、はっきり話す
  • 相手が聞きやすい距離で話す
  • 自然に出る声で話す、歌う
  • 広い場所、賑やかな場所で話す時はマイクを使う

息が苦しい

のどは空気の通り道で、気道の入り口につながっています。のどが腫れてしまうと空気が通らなくなり、窒息してしまいます。急性喉頭蓋炎や扁桃周囲膿瘍などの感染などによる炎症、そのほかには癌などがあります。

息が苦しい原因となる疾患

急性喉頭蓋炎

喉頭とは、気道の入り口になる部分になり、喉頭蓋や声帯を有しています。何らかの原因で急に喉頭が腫れてしまうことがあります。これを急性喉頭蓋炎と言います。喉頭が腫れると気道が詰まって窒息の原因となる可能性があり命に関わります。場合によっては気管切開と言って首から気管に穴を開け空気の通り道を確保する手術を必要とします。入院での経過観察が必要と考えられますので適切な総合病院へ紹介いたします。