耳は聞こえのため大切な器官になります。しかし耳には聞こえだけでなく、体のバランスを整える器官や顔の筋肉を動かす神経、味覚の神経がありとっても大切な臓器です。耳が聞こえない、眩暈がする。顔が動かしにくい、などの症状の方について解説いたします。
聞こえのメカニズム
人はどのようにして音を聞いているのでしょうか。そのメカニズムは非常に複雑です。
音は空気の振動です。
音は耳の穴を通って鼓膜を振動させます。鼓膜の振動を耳の中にある3つの小さい骨(耳小骨)で振動を大きくします。さらに奥、内耳という場所まで振動を伝えます。
内耳には蝸牛と呼ばれる知覚機があります。その中には水が入っていて、増幅された音の振動が水を揺らすことで近くにある毛が揺れて、音の振動を電気信号へと変化させます。その電気信号が神経を伝って脳へと伝わり、音を認識することができるようになり聞こえてくるのです。このどこかで異常があると「聞こえ」が悪くなります。
耳について心配なお母さんへ
聞こえは、幼少期の「ことばの発達」にとても重要な役割を果たしており、また大人になってからも日常生活において聞こえないことは見えないことよりも精神的なストレスがかかると言われています。
そのため、日本では出産後に聞こえのスクリーニング検査をするようになっており、もし難聴が疑われた時には耳鼻科や小児科が連携して早期からサポートすることができるようになっています。
赤ちゃんはいつから聞こえるようになる?
赤ちゃんがお腹で卵から人の形になるまでの期間は大体妊娠12週ごろと言われています。妊娠4週ごろに耳の素になるものができ、8週くらいで三半規管ができてきます。約20週ごろには耳も完成しており、お母さんの声や心臓の音がわかるようになります。
生まれてからは以下のような順番で聞こえるようになります。
だいたい生後3ヶ月くらいで音のする方にゆっくりですが顔を向けるようになります。
その後徐々に、両親の声を聞き分けることができるようになります。
生後8ヶ月くらいには聞こえがほとんど完成し、11ヶ月くらいには言葉を真似したり、口や手など体の部位を尋ねると指させるようになってきます。
もちろん、子どもの言葉の発育には個人差があり、みんながこうなるとは限りません。そして遅れているからと言って必要以上にお母さんが心配する必要はありません。心配していることが赤ちゃんに伝わってしまいます。耳のことが気になるなと思ったらいつでも耳鼻科に相談してください。耳のことは耳鼻科に任せていただき、それ以外については、小児科と連携して一緒に見守っていってあげましょう。
子どもと中耳炎
子どもは風邪を引くとよく鼻水が出ますが、中耳炎にもなりやすいです。
ここでは子どもが中耳炎になりやすい理由と治療方法について説明します。
なぜ中耳炎になりやすいの?
大人と比較して子どもが中耳炎になりやすい理由は子どもの骨格にあります。
耳の穴を覗くとその奥に透明な膜=鼓膜が見えます。鼓膜の奥は音の振動をキャッチするために太鼓のような構造をしていて空洞になっています。この空洞に空気を送るために耳と鼻が繋がっています。この繋がりの部分を耳管と言います。
この耳管が子どもは発達過程であるため、鼻の汚い粘液が耳の方に入り耳の中で感染を起こしてしまうことがあり、子どもが中耳炎になりやすい原因となっています。
どのタイミングで受診したらいいの?
「鼻水が出たら耳鼻科に受診して鼻水を止めた方がいいの?」
「いつ受診したらいいの?」
となりますよね。
タイミングとしては3つ考えられます。
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耳だれが出てきたとき
生まれたてなどはお母さんの羊水の残りであることがあり、これは急ぐ必要性はありません。しかし、耳から黄色い汁が出たり痛がったりしている、耳を気にして触っているような状態では中耳炎である可能性がありますので受診しましょう。
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熱が出たとき
小児科で治療を受けていても中々治らない時などは中耳炎が隠れている場合があります。その場合は耳鼻科で耳を診てもらってください。
-
聞こえが悪いと感じたとき
風邪を引いた後に、子どもの聞き返しが多いや呼んでも返事しないなどいつもと様子が違うなと思った時も中耳炎である場合があります。耳垢が詰まっているという場合もありますが、耳鼻科で一度耳の中を確認するようにしてください。
子どもの中耳炎の治療
中耳炎の程度によりますが、膿が溜まっているような場合は抗生剤を必要とすします。抗生剤でもなかなか治らない場合には、鼓膜に穴を開けて膿を抜く処置(鼓膜切開)が検討されます。膿を抜いてあげると急激に良くなります。しかし大人でも耳の中の操作は怖いもので、子どもにとってはもっと怖いです。処置の必要性について慎重に検討する必要性があります。もし鼓膜切開が必要性と判断される場合には総合病院へ紹介する場合もあります。また膿を抜いた後急激によくなるのですが、ここで油断しないようにしてください、ぶり返すこともあるので耳鼻科医の指示に従うようにしましょう。
難聴について
- 聞こえが悪いなと感じたらできるだけ早期に耳鼻科に受診しましょう
- 突発性難聴などの急性感音性難聴ではステロイド治療を必要とする場合があります。
- 耳鳴り=難聴ではありません。しかし聞こえがおかしいなと感じた時は耳鼻科へ受診してください。
難聴には内耳に原因がある感音性難聴と、内耳に到達するまでに原因がある伝音性難聴という種類があります。
どこで難聴が起こっているのかは所見や症状、聞こえの検査で調べていきます。
聞こえにくさの原因
- 外耳:耳あか(耳垢塞栓)、外耳炎、外耳道真珠腫、外耳癌 など
- 中耳:急性中耳炎、鼓膜穿孔、慢性中耳炎、真珠種 など
- 内耳:内耳炎、メニエール病、突発性難聴、急性低音障害型感音難聴、加齢性難聴など
- 聴神経:神経炎、聴神経腫瘍など
- 脳:機能性難聴(心因性難聴)、脳腫瘍など
難聴の原因はこのようにたくさんあります。全てがすぐにわかるというわけではありません。
必要があればMRI検査なども行う必要性があります。その時は他院でMRI検査を行ってきていただいたり、大きな病院へ紹介いたします。
検査方法
問診や診察を行い鼓膜までに原因がないかなどを観察します。その後、聴力検査を行います。
聴力検査や鼓膜の動きに対しる検査を行い、必要に応じて耳小骨の動きやすさ、内耳の機能を評価する検査を追加いたします。MRI検査などが必要とされる場合には連携施設をご案内させていただいたり、総合病院へ紹介いたします。
治療方法
中耳炎などの伝音性難聴については難聴の原因に対し治療を行います。
感音性難聴はステロイド治療を必要とする場合があります。できるだけ早期に治療を開始することでより治療効果が得られる可能性があるとされています。
難聴の原因となる疾患
急性中耳炎
中耳炎についてを参照ください。
突発性難聴
発症時間が何日の何時、何をしている時と言えるほど突然、難聴になります。
原因についてはストレスなどで免疫力が低下した時にウィルスなどにより神経がダメージ受けたとか、内耳の血流が低下し内耳が働かなくなったとか言われていますが、まだはっきりとした原因はわかっていません。
原因不明の難聴です。そのため、治療方法も昔から第一選択はステロイド治療となっています。
突発性難聴は完治する人が3分の1。完治とはいえはないが改善する人が3分の1、改善が見られない人が3分の1です。
できるだけ早期に治療を開始することで、治療効果は高いとされています。症状が軽いと気がつきにくい場合もあります。少なくとも2週間以内には受診が推奨されているますので、変だなと感じら耳鼻科へ受診することをおすすめします。
聞こえにくさ、耳がこもった感じ、耳鳴り、めまい など
ステロイドの全身投与や鼓室内投与になります。ステロイドは副作用が多いため、ステロイド全身投与を開始する前にはB型肝炎やC型肝炎のチェックのため血液検査をさせていただきます。
特に脳梗塞や心筋梗塞、糖尿病などの持病を持つ方に対しては、持病が悪化する可能性があり、その場合は総合病院へ紹介いたします。
高圧酸素療法:当院では行っておりませんので必要時に可能な施設に紹介させていただきます。
メニエール病
ストレスや睡眠不足・生活習慣の乱れにより内耳の水が溜まること(”内耳のむくみ”)で聞こえにくさやめまいを引き起こすとされています。
症状は突然・発作的に起こりますが、繰り返すことが多く、突発性難聴とは異なる部分になります。
症状
ぐるぐる回るめまい、こもったような聞こえ、耳鳴り、大きな音が反響して聞こえる
治療方法
発作時の治療法は、突発性難聴と同様の治療方法に加えて、内耳のむくみが原因ですので利尿薬の内服を行っていただきます。利尿薬により、脱水になることがありますので水分はこまめに摂るようにしましょう。めまいを伴う場合には抗めまい薬を使用していきます。
発作が起きてない時は、発作を予防が必要となります。生活習慣の見直しやこまめな運動などが必要になります。気になる方はいつでもご相談ください。
また、何度もめまいを起こす方に対しては中耳加圧療法や手術治療などがあります。必要時は対応の施設へご紹介いたします。
急性低音障害型感音難聴
突発性難聴のように急に発症する低音の難聴です。メニエール病と同様に内耳のむくみが原因とされています。しかしメニエール病と異なりめまいがありません。
女性の方に比較的多く、1〜2割程度の方はメニエール病へ移行すると言われています。
症状
こもったような聞こえ、低い音の耳鳴り、自分の声が響いて聞こえる
治療方法
メニエール病と同様です。
利尿薬を使用して場合によってはステロイドを併用します。
〜院長コラム〜「聞こえているんだけど、聞き取れない」ことないですか?
APD(聴覚情報処理障害)、LiD(聞き取り困難症)という言葉をご存知でしょうか。言葉の聞きとりには、音が聞こえた後に脳でその情報を統合するという作業が必要です。難聴や認知機能の低下から聞き取りにくくなど場合もありますが、近年では聴力検査では正常であるにも関わらず聞き返しが多かったり、聞き間違いの多い方の中に、「脳の情報処理」でなんらかのトラブルがおこっている方がいることがわかってきました。
日常生活には多くの音で溢れかえっています。公園などの比較的静かそうに思う場所でも、車の音や子どもの声があり、APDの方にとっては聞き取りづらさの原因になってしまいます。たとえ隣で話していたとしても車や子どもの声にかき消されてしまいうまく聞き取れていないのです。これはその人の持つ特性であるため、通常の聴力検査などでは気がつくことができず、周りからも気が付かれず理解されていないため悩まれている方が多いです。
めまい
耳には聞こえだけでなく、平衡感覚でも重要な役割を果たしています。
めまいは問診と聴力検査 眼振検査をして診断します。診断に時間がかかる場合もあります。
呂律が回らない、手足が痺れる、思いっきり殴られたような頭痛、意識がなくなるようなめまいは脳神経外科を受診しましょう。
めまいについて
平衡感覚は三半規管など耳からの情報に加えて目からの情報や足からの情報(深部感覚)を統合して、脳で処理します。
このどこかでバランスを崩すとめまいやふらつきを起こします。
三半規管てどこにあるの?
三半規管は、耳の内耳と言われる部分にあります。
耳は聞こえの場所でもあると同時に、平衡感覚でも重要な役割を果たしています。
めまいの症状
めまいは大きく分けて、ふわふわするめまいと、ぐるぐる回るめまいの2種類に分けることができます。
ふわふわするめまい:耳以外のところで起こっためまいで多く見られます。
ぐるぐる回るめまい:耳で起こっためまいであることが多いです。
注意すべきめまいは、
ろれつが回らない、手足が痺れる、目の前が真っ暗になる、気を失う、頭がすごく痛くなる、後ろに倒れる
このような症状がある場合は耳ではなくもっと中枢の脳が原因である可能性があります。
このような場合は、脳神経外科や総合病院へ紹介いたします。
耳鼻科で扱うめまい疾患
良性発作性頭位めまい症
耳石によるめまいとも言われます。三半規管の近くに耳石というカルシウムの塊が溜まっている場所があります。そこから耳石が外れて三半規管の水の流れを制限することで引き起こします。
症状
寝返りなどで頭の位置を変化させた時に起こるぐるぐる回るめまい。時間も数秒から数分程度です。
治療方法
耳石を元に戻す治療を行います。医師と相談して治療を行います。
しばらく、ふわふわしためまい感が持続する場合がありますその際はめまい薬を内服していただきます。
メニエール病
難聴でも説明しましたが内耳のむくみによって引き起こされるめまいになります。
症状
発作的に起こるぐるぐる悪ようなめまい、聞こえにくさ、自分の声が響いて聞こえる、耳鳴り
治療方法
季節の変わり目やストレス、睡眠不足などが原因で引き起こすとされており、生活習慣を見直すこととともに、適度な運動(ジョギングなど)を行うことで発作を抑制できます。
また発作時にはむくみを摂るための利尿薬やステロイド治療を行います。
また運動療法などを行っても頻繁にめまいを繰り返す方には中耳加圧療法という治療方法があります。それでも改善ない場合は高次医療機関へ紹介します。
外リンパ漏
ダイビングや耳ぬきをしたりする人に多いめまいです。
三半規管や蝸牛にためっている水が外部へ漏れ出すことで起こります。
ダイビングで耳抜きをしたりやくしゃみや強く鼻をかんだ時などで耳に大きな圧力がかかり、小さい膜から水が漏れ出してしまいます。
症状
ぐるぐる回るめまい、耳が詰まったように感じる、耳鳴り
治療方法
絶対安静です。水がさらに漏れ出さないようにするため膜が自然に閉じるのを待ちます。なかなか閉じない場合には手術して閉じに行く場合もあります。
安静時はできるだけ腹圧のかかるような重い荷物を持ったり、息んだりすることは避け、頭を高くしてベッドで安静にしていただきます。
程度によっては入院も必要になります。
当院で治療が難しいと判断される場合には高次医療機関へ紹介いたします。
その他のめまい
前庭性片頭痛
はっきりしたことはまだわかっていませんが、頭痛に関連した5分以上続くめまいとされています。
片頭痛の診断基準を満たす必要があり、治療法は確立されておらず片頭痛の予防となります。
前庭発作
平衡感覚の神経が周囲の脳血管に圧迫されて起こるめまいです。
起立性低血圧
自律神経の乱れによるとされており、立ち上がったりした時に目の前が真っ暗なるような感じがあり座り込んでしまいます。
血圧の調整がうまくいかず、立ち上がった時に脳への血流が一過性に低下することで起こります。
循環器内科の先生と連携して治療を行います。
頸性めまい
振り向いたりした時にめまいを起こすことがあり、首の過度な緊張や肩こりが原因とされています。
デスクワークの方などに多くみられます。
加齢性めまい
年齢を重ねたことで起こる平衡感覚の低下です。ひどい場合には転倒を起こす場合があります。
リハビリで進行を予防します。
更年期障害とめまい
更年期、最近では男性にも起こることが言われていますが、女性の方の大きなイベントの一つだと思います。ホルモンバランスの崩れにより、ほてりやイライラなど多彩な症状が出現しつらい思いをされている方もいらっしゃいます。中にはめまいを起こされる方もいます。「更年期だし、仕方ないのかな」「このめまいは治るのかな」と不安になられる方も多いのではないでしょうか。
更年期とは、45歳〜55歳前後の方で閉経となる前後5年間とされています。その期間に女性ホルモンが急激に低下し、自律神経が乱れることでほてりやイライラ、不眠、倦怠感などの日常生活に支障をきたすような不調が出ている状況を更年期障害といいます。
エストロゲンという女性ホルモンが急激に低下すると自律神経が乱れ、ふらつきや動悸があらわれやすくなります。これが「ふわふわしためまい」といった、更年期で見られるめまいです。また人によってはストレスが加わり、ストレスホルモンが上昇して今度は内耳にも悪い影響を及ぼし、メニエール病などの「ぐるぐるするめまい」を併発することがあるという報告があります。
- ふわふわするめまいがしばらく続いている
- ほてりがある
- 汗をかきやすくなった
- イライラしやすいなど
以上の症状がある場合には、耳だけでなく更年期のめまいの可能性がありますので婦人科にも相談されるのが良いかもしれません。
- ぐるぐるするめまい(天井が回るようなめまい)
- 聞こえがおかしい(耳が詰まった感じがする、こもって聞こえる)
- 寝返りを打ったり起きあがろうとするたびにめまいがする
などの症状がある場合は耳鼻科ではメニエール病などの内耳の疾患を精査します。
もしも更年期などを疑う場合には漢方などを使用することで改善が期待できることもあり、漢方などもご希望の際は医師に申し付け下さい。
耳鳴り
耳鳴り=難聴ではありません。難聴に伴い耳鳴りを起こすこともありますが、全てではないです。
一時的な耳鳴りについては過度に心配することはありませんが、聞こにくさや持続して聞こえる場合などは耳鼻科で相談してください。
治りにくい耳鳴りについてはTRT療法(音響療法)という治療方法があります。
耳鳴りはとても不快です。耳鳴りが原因でイライラして、耳鳴りを無意識に探してしまうようになり、その結果、脳が耳鳴りに対しどんどん過敏になり、実際にはしていない耳鳴りの音が大きくなるなどの「負のスパイラル」におちいってしまうことがあります。このようにならないためには、まず耳鳴りについて知ることが大切です。耳鳴り治療の第一歩は耳鳴りを知るです。
耳鳴りの原因について
音が脳へ伝わるまでの間のどこかで異常が起こることで、難聴や耳鳴りが起こります。
しかし耳鳴りについてはまだはっきりとした原因が分かっていません。
耳鳴りは実際にしていない音を聞こえたと脳が誤認したことにより起こるとされています。
耳鳴りの症状
耳鳴りは、大きく分けて2種類あります。
非拍動性の耳鳴り:キーンやジーといった実際にはなっていない様な音が聞こえる。
拍動性の耳鳴り:どくどくなどの心臓の鼓動に合わせた様な音が聞こえる。。
非拍動性の耳鳴り
ストレスなどで一時的に起こる場合があります。この様な場合は過度に心配する必要性はありません。しかし、聞こえが少しでも「悪くなったな」と感じた場合は、できるだけ早期に耳鼻科へ受診しましょう。確かに耳鳴りは内耳の機能の低下(難聴)が原因で起こる場合もあります。低音であれば低い音、高音であれば高い音の耳鳴りが起こります。ご高齢の方は高い音が聞こえにくいことが多いので、高い音の耳鳴り「ジー」だったり「蝉の鳴く音」がずっと聞こえると言われる方が多いです。
拍動性の耳鳴り
拍動性の耳鳴りは血管の動きに連動します。中耳炎や外耳炎、血管の走行に原因がある場合があります。
どのような耳鳴りがどんな時にして どんな時はしないかを医師に伝え、一緒に治療しています。
耳鳴りの治療方法
まずは、どのような時に・どの程度の耳鳴りがするのかなどカウンセリングを行い対応策をお伝えします。耳鳴りについて知ることが治療の第一歩です。内服治療について質問されることがありますが、残念ながら耳鳴りは原因がわかっていないので特効薬がありません。薬や漢方については相談の上必要がある場合には使用します。また難聴と関連のある耳鳴りの場合は補聴器を装用することで改善する場合もあります。
音響療法とは
耳鳴りに順応・気にならなりすぎないようにするための治療です。耳鳴りを完全に無くすのではなく、10段階評価で8くらいのもを、2と1くらいにする治療です。耳鳴りの感じ方を軽減して、耳鳴りはしていてもイライラしたりストレスを感じない状態にしていきます。治療にはある程度時間がかかります。
その他のみみの病気
中耳炎
「子どもが風邪をひいて中耳炎になった」というエピソードを聞いたことが多いのではないでしょうか。鼓膜の内側にある空間を中耳と呼びます。中耳でバイキン感染などが原因で炎症がおこり、鼓膜が赤くなったり、鼓膜の奥で膿が溜まったりします。
耳が痛くなったり、聞こえにくくなったり、耳だれ(医学的には耳漏と言います)が出たり、熱が出るなどの症状で来院されることが多いです。小さなお子さんの場合は耳をすごく気にするような仕草を見せることもあります。
中耳炎の程度を軽度から重症までの3段階で評価し治療します。
抗生剤を使用したり、中耳炎で膿がひどく溜まっている場合などは鼓膜に小さな穴を開けて膿を出したりします。膿を出すことで劇的に良くなりますが、そこで油断せず医師の指示の通りに抗生剤内服していくことが重要です。
外耳炎
外耳炎はあまり聞きなれない言葉かもしれません。耳垢が貯まる場所を外耳道と呼びます。外耳道が傷つき炎症を起こした状態を外耳炎と言います。
耳が痛い、耳が痒いなどの症状で来院される方が多いです。
外耳炎の原因で多いのは、耳かきのしすぎです。綿棒で手前だけを優しく拭き取るくらいならまだいいのですが、ついつい奥まで触ってしまったり、何回も強く触ってしていませんか?そうすることで外耳道の皮膚に傷がつき、傷にバイキンが感染して外耳炎になってしまうのです。
外耳炎の治療は、まずは耳を触らないこと、そして耳の差し薬(点耳薬)や塗り薬で治療します。
耳管狭窄症
耳と鼻は一つの管で繋がっています。その管を耳管と言います。耳管は耳のなかのガス交換の役割をしています。耳管が狭いとガス交換がうまくいかず、耳の中が少し真空状態になり、耳が詰まった感じがします。飛行機などに乗った時や高層ビルなどで耳が「つーん」とする感じといえばイメージしやすいでしょうか。
風邪やアレルギー性鼻炎などで鼻の粘膜が腫れ、耳管の粘膜も腫れ耳管が狭くなります。この場合は、鼻の治療を行うことで改善する可能性があります。耳管通気という耳管に空気を送り込むという処置を行うことで改善する場合もありますが根本的な治療ではないので効果としては一時的なことが多いです。
耳管開放症
これは耳管狭窄症とは逆に耳管が閉じなくなってしまった状態です。
耳管は通常閉じています。唾を飲んだり食事をしたりすることで耳管が開きます。耳管が開くと耳に空気が入りガス交換を行います。しかし、その耳管が開いたままの状態になることがあり、それを耳管開放症と言います。
症状としては、「自分の声が響いて聞こえる・自分の呼吸の音がする・耳が詰まった感じがする」です。耳管が開いた状態であることが原因ですので少し狭くしてあげると症状が改善する場合があります。
ここで簡単な自己チェックの方法をお伝えします。
座ったままお辞儀するようにして頭を下げてください。それで自分の声が響かなくなった、つまりかんがとれたという場合は耳管開放症の可能性が高いです。
なりやすい方の特徴
- 無理なダイエットなどで急激に体重が低下
- ピルなどの内服を行っている方
- 透析中の方 など..
確立した治療方法は少なく漢方を使用したりします。
顔面神経麻痺
顔を動かす神経が脳から耳の中を通って耳たぶの後ろから出てきて顔半分の筋肉に伸びてきます。何らかの原因で神経の動きが悪くなり顔の歪みを生じます。顔面神経麻痺には大きく2種類あり、神経そのものが麻痺したもの(末梢性顔面神経麻痺)と、脳(中枢)で麻痺したもの(中枢性顔面神経麻痺)があります。
原因
- 末梢性顔面神経麻痺
ウィルス感染(ヘルペスや帯状疱疹)
腫瘍(耳下腺腫瘍・顔面神経鞘腫など)
膠原病(自己免疫性疾患)
- 中枢性顔面神経麻痺
脳梗塞や脳出血 など..
治療方法
脳以外が原因で起こる顔面神経麻痺(末梢性顔面神経麻痺)に対しては、できるだけ早い時期でのステロイドや抗ウィルス薬の使用が推奨されています。早く治療を開始することで改善が期待できるといわれているためです。違和感を感じた場合はできるだけ速やかに医療機関へ受診することをお勧めします。
聴覚情報処理障害/聞き取り困難症
聴覚情報処理障害(APD)、聞き取り困難症(LiD)をご存知でしょうか。
聴覚情報処理障害の特徴は「聞こえているのに聞こえない」です。聴力検査で明らかな異常がないにも関わらず、脳内の情報処理がうまくいかないために言葉を聞き取ることが難しくなってしまいます。比較的新しい疾患概念であり、耳鼻科医内でも十分に認知されているとは言い難い厄介なものになります。
検査方法
聴力検査の他に簡単な問診で可能性があるかがわかります。
診断する上で重要なのはいわゆる注意欠陥・多動障害(ADHD)やその他の発達障害を除外すること、また聴力検査で異常がないことを確認することです。そのため診断には専門的な検査が必要です。しかしまずは聴力検査と簡単なアンケートに答えていただくだけで聴覚情報処理障害の疑いがあるかがわかります。当院でもそのアンケートを実施ており、もしも疑いがあるとされた場合には専門の医療機関へご紹介いたします。お気軽にご相談ください。
治療について
聴覚情報処理障害はその人の持つ特性であるため、なかなか一朝一夕に良くなることは難しいです。しかし聴覚情報処理障害であることを知っていただくことで周りの理解やその人に合わせた対応ができます。
対策方法
環境調整
職場や家庭内での聴覚情報を補助するためにできるだけ1対1での会話を行ったり、文字で伝えたりすることが良いです。合理的配置と言って、聴覚情報処理障害をはじめとした障害のある方が暮らしやすいように、社会の不便を取り除き周囲の人が環境を整えることが必要です。
〈職場〉
- 電話対応は極力他の人に代わってもらう
- 会議や研修ではあらかじめ資料をもらったりボイスレコーダーの使用を許可してもらったりする
- 指示は要点を単語や短文でメモなどに書いてもらったり、重要なものはメールで送ってもらう など
〈学校〉
- 座席はなるべく前の方にしてもらう
- 先生に話して、授業のポイントをあらかじめプリントにしてもらう
- オンライン講義は録画する など
訓練による情報処理強化
言語聴覚士とともに聞き取りの訓練を行います。
他の手段で伝える
筆談などの聴覚以外での手段を用いた方法があります。
聞き取りづらさにお悩みの方へ
日常生活には多くの音で溢れかえっています。公園などの比較的静かそうに思う場所でも、車の音や子どもの声があり聴覚情報処理障害/聞き取り困難症の方にとっては聞き取りづらさの原因になってしまいます。たとえ隣で話していたとしても車や子どもの声にかき消されてしまいうまく聞き取れていないのです。これはその人の持つ特性であるため、通常の聴力検査などでは気がつくことができず、周りからも気が付かれず理解されていないため悩まれている方が多いです。気になる方はいつでもご相談ください。