毎年春になると花粉症で憂鬱になる方も多いのではないでしょうか。国民の約40%がスギ花粉症であると言われており、今やスギ花粉症は国民病です。近年では小さいお子様でも花粉症を発症することがわかっており、年齢関係なく発症することがあります。
「この時期になると鼻水が出る」「風邪でもないのにくしゃみがでる」「うちの子、鼻をすするのが多くなったな」などといった、決まった時期・季節に鼻水や鼻づまりが出る方は、花粉症である可能性があります。花粉症であることは血液検査などを行うことでわかります。当院では、1滴の血液から保険適応内で花粉症を含む41項目について検査が可能な方法(ドロップスクリーン)を導入しており小さなお子様でも安心して検査が受けられます。いつでもご相談ください。
花粉症について知ることで、対策や治療法の選択が広がります。このページでは花粉症について分かりやすく説明します。
花粉症(季節性アレルギー性鼻炎)について
花粉症は「スギ」だけではありません
花粉症と言われると春のスギ花粉症をイメージしやすいかと思いますが、実は季節ごとに飛んでいる花粉があり、春・夏・秋とそれぞれに花粉症があります。例えば、夏は「イネ科の植物」、秋であれば「ヨモギ」や「ブタクサ」になります。それぞれの花粉が飛ぶ時期については、下の表をご覧ください。
アレルギーの有無は血液検査で調べることができます。当院では従来の血液検査に加えて、1滴の血液で検査可能な機器(ドロップスクリーン)を導入しております。ドロップスクリーンは注射の嫌いなお子さんも比較的受けやすい検査になります。検査は保険適応内であり、特定の41項目(スギ・ヒノキ・ダニ・ハウスダストに加えて食物アレルギー)について検査が可能です。気になる方はいつでもご相談ください。
花粉症の症状
花粉症の主な症状は、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目の痒みになります。ある特定の時期になるとくしゃみや鼻水が多くなる場合などでは、花粉症を疑います。くしゃみの回数などは重症度の判定に使用しますので、気になる方はご相談ください。
小さいお子さんの場合はなかなか自分で症状を言葉で伝えることができません、大人が注意してみてあげることが重要です。目をこするや鼻をいじるなどの特定の行動をする時は、花粉症かもと疑ってあげてください。
〈アレルギーの子どもがする行動〉
- 目:目を擦る・目が充血している
- 鼻:鼻をよくかむ・鼻をすすっている・鼻がつまっている
- 口:いびきをかく・よく口が空いている など
花粉症の検査
アレルギーの有無は鼻水中の好酸球の数や血液検査で調べることができます。当院では下記の方法で検査を行っております。気になる方はいつでもご相談ください。
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鼻汁好酸球数の測定
鼻水内に観察される好酸球というアレルギーに関わる細胞の数を計測します。
多いと鼻の中でアレルギー反応が起こっていることがわかります。
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特異抗原検査
血液検査で、花粉やアレルギー原因物質に対する抗体の有無などを検査します。
当院では従来の血液検査に加えて、指先の血一滴から41項目のアレルギー検査ができる検査機器「ドロップスクリーン」を導入しております。
小さいお子様でも比較的負担なく検査が可能で、全て保険適応内で検査できますので、アレルギーについて知りたい方はいつでもご相談ください。
花粉症の治療
症状に合わせたお薬を使用していきます。
症状が強い方には注射や手術といった治療方法もあります。従来は症状に合わせて治療を選択されることが多かったのですが、近年は舌下免疫療法により根本的な治療が期待できるようになり、選択の幅も増えています。
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内服治療
症状に合わせて飲み薬や鼻のスプレー薬(ステロイド含有したものなど)、目薬を使用して症状を抑えていきます。
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舌下免疫療法
3年から5年毎日行うことで特定のアレルギー(スギ・ダニ)に対し体質を改善させる治療であり、唯一の根本的な治療を可能としています。
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注射治療
既存の治療でも改善が見られない重症の方が適応となります。生物化学製剤を使用して、鼻汁などのアレルギー症状をおさえます。
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手術療法
鼻詰まりの軽減や鼻汁量の軽減を目的とした手術。必要な方に対しては適切な医療機関へ紹介いたします。
花粉症治療のタイミング
花粉の飛散が開始する2週間前
花粉症に対する内服治療においては初期治療(飲み薬や点眼薬の開始)が大切と言われています。初期治療を行うことで、そのシーズンの症状の軽減だけでなく、発症時期を遅らせることができます。
例えば関西であれば、スギ花粉は2月初旬もしくは中旬から飛散が開始されますので、1月末から2月初旬からの治療をおすすめします。
なぜ初期治療が重要?症状でてからでも良くない?
実は症状が出ていなくても少量の花粉が、鼻の粘膜に微小な炎症を持続的に起こしていると考えられていて、これを最小持続炎症(MPI)と言います。
微小な炎症でも持続することで鼻などの粘膜内に炎症細胞が集まってきます。そんな状態の時に大量に花粉が飛んでくると、より過敏に反応を起こしてしまうと考えられています。そうなってからコントロールするのではなかなか苦労します。そうならないために、症状が出ていない時期から内服治療を初めておくと、微小な炎症も抑えられ、いざ本格化したときにも症状を抑えることができます。
花粉症は毎日のことで仕事や勉強のパフォーマンスに影響するので、私は症状が出てからよりも出る前から治療することをおすすめします。また、症状が強い方では、後述する舌下免疫療法もおすすめです。
いつから初期治療始めたらいいの?永遠に飲み続けるの?
当院では花粉の飛散する2週間前から治療を開始するのが良いと考えています。抗ヒスタミン薬の内服に合わせて点鼻薬や点眼薬を使用します。何週間も前から治療する必要性はありません。関西では、スギは2月中旬からゴールデンウィークまで飛散することが多いため、2月に入ってから治療を開始しましょう。
特に最近ではデザレックスやビラノアなどの比較的新しい内服薬には、
インバースアゴニスト効果という特殊効果を持つとされており、初期治療でより効果が高いとされているので、院長は初期治療ではそちらの内服薬をご提案しております。
〈インバースアゴニスト効果について〉
体内にアレルギー物質が侵入すると炎症細胞がそれを排除しようとヒスタミンという化学物質を出して各部署に命令します。アレルギー反応はヒスタミンに対して、過敏に反応した結果であり、血管が拡張し鼻詰まり、鼻水が出たり、涙が出たりします。
さらに詳しくいうと、粘膜や血管にはこのヒスタミンを受診する、ヒスタミンH1受容体というものが存在し、ヒスタミンが受容体と結合するようになっています。ヒスタミンH1受容体には活動性のあるもの(活性型H1受容体)と活動性のないもの(不活化型H1受容体)の2種類がいて、両者が陣取り合戦をして平衡状態を保もとうとしています。今までは抗ヒスタミン薬は活動性のある受容体に作用してヒスタミンが放出されても働かなくしていると考えられていました。しかし近年では実は活動性のない方に作用して安定化させることで活動性のあるやつの動きを封じているのではないかということがわかってきました。これをインバースアゴニスト効果と言います。
インバースアゴニスト効果の強いものを初期治療で使っておくと、活動性のない受容体が多くなっている状態なので活動性のある受容体がヒスタミンの影響を受けにくくなり、いざ花粉が大量に飛散しても、反応できるものが少ないためアレルギー反応が軽く済みます。
花粉症対策
コロナ禍以降、花粉症の症状が軽快したと言う人が多くみられます。これはマスクをするようになったことはもちろんですが、それ以外にも手洗い、うがいを徹底する方が増えて、花粉に吸い込むことを減らせるようになったからです。
外出時
服装:ツルツルした素材の服。ウールなどフリース素材のものは花粉が付着しやすいため、ポリステル、ナイロンなどの撥水加工のされたツルツルな素材の上着を着ることをお勧めします。
飛散が多い時期ではマスク(不織布マスク)を着用を徹底していただくと、花粉を吸い込むことを避けることができます。また花粉用のゴーグルなどもありますので必要とされる方はそのようなものを着用すると良いでしょう。
帰宅時
家に花粉を持ち込むことで、花粉を吸い続けてしまう可能性があります。そのため家に着いたらまずは、服についた花粉を払うようにしましょう。玄関で服やカバンについた花粉を粘着タイプの衣類クリーナーや乾いた布などで取り除きましょう。
こうすることで、花粉を家に持ち込まず、花粉を吸い続けることを回避できます。使用したマスクなどは玄関近くにゴミ箱を置き、捨てることが理想ですが、可能な範囲で行なって行きましょう。家に花粉を持ち込まないことを徹底します。
家に入ったら。ずは、手洗い・うがいをしてください。ついた花粉を落としましょう。
花粉症のQ&A
- 花粉症になりやすい人となりにくい人がいるのはなぜ?
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同じ生活をしていても花粉症になる人とならない人がいますが、花粉症のなりやすさはその人の体質で決まります。
この、花粉症の発症についてはコップと水の関係で説明することができます。
コップ=花粉症になりやすい方(体質)
水=花粉の量(アレルギー物質)
と考えてください。
小さなコップに大量の水を入れるとすぐに、水が溢れてしまいますが、同じ量を大きなコップに入れても溢れないということがあると思います。これと同じように、花粉症になりやすい方は少しの量でも花粉にさらされると花粉に対する免疫反応を起こりやすくなってしまいます。花粉症になりにくい方(大きなコップ)は、少しの量ではなかなかアレルギー反応が出現しません。
しかし大きなコップでも一度水が溢れでてしまうと、その後は少しの水でもコップから水が溢れでてしまうように、花粉も同様で花粉症になりにくい人でも一度花粉症になるとその後は毎年花粉症に悩まされるようになってしまいます。
- 花粉症って遺伝するの?
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花粉症の発症の一番の原因は環境です。スギ花粉などのアレルギーの原因物質にさらされやすい環境にあるとか同居者に喫煙者がいるお子さんは花粉症になりやすいとされています。
ただ、花粉症そのものが遺伝するのではないのですが、アレルギー体質(なりやすさ)は遺伝するとされています。アトピー素因と言って、アレルギーになりやすい体質という方は存在しています。両親にアレルギーのある方などでは、アトピー素因があると言います。アトピー素因のある小さいお子さんは、生後数ヶ月でアトピー性皮膚炎や食物アレルギーを発症して幼児期以降に喘息やアレルギー性鼻炎を発症することがあります。(アレルギーマーチと言います)
- 花粉症の薬が効かない!どうしたらいいの?
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花粉症に対するアレルギー薬がありますが、人によって合う・合わないがあります。合わない場合は医師と相談して増量や薬剤の変更も可能です。また薬剤によっては眠気が出ることがあります。眠気が強い場合にも変更を検討する必要がありますので、いつでもお困りごとがあれば医師とご相談ください。
- うちの子目薬が苦手で困っています
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2024年より、まぶたに塗るタイプの目薬が出ました。当院でも使用可能ですのでいつでもご相談ください。